お酒はこんなものからも作られる(3)馬乳酒
次に紹介するのは馬乳酒です。これは若い人でも比較的知っている人が多いのではないでしょうか。なぜならば、現在中学校教育の地理の教科書において、モンゴル人の生活を紹介するくだりで馬乳酒を飲むモンゴル人の姿が写真付きで掲載されているからです。遊牧民は栄養的に偏った食事をしがちであるものの、馬乳酒からビタミンを摂取しているというようなことが書いてあります。
さて、馬乳酒は上述のとおりモンゴルを中心とする、馬の飼育が盛んな中央アジアで見られるお酒です。その名の通り原料は馬の乳です。お酒と言ってもアルコール濃度は1~3%くらいで低く、栄養が豊富であるため乳幼児も飲んでいます。アルコール発酵と乳酸発酵が行われていることで、酸味が強いお酒に仕上がります。
なぜアルコール濃度が低いのかと言えば、それはアルコール濃度が糖度に左右されるからです。糖度が高いものが原料であれば酵母はそれを栄養分として盛んに発酵してアルコールをたくさん作り、アルコール濃度が高くなります。しかし馬の乳には乳糖が含まれるものの糖度は低く、どうしてもアルコール濃度は低いものとなってしまうのです。だからこそ、乳幼児でも飲めるというわけです。
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