日本酒はなぜ冬場に仕込むのか
日本酒が仕込まれるのは、11~3月の厳寒期であり、この時期に仕込むため「寒仕込み」と言います。では、なぜ冬に仕込を行うようになったのかと言うと、これは昔の人の生活の知恵なのです。
日本酒が冬に仕込まれるようになったのは江戸時代からです。徳川幕府の政策によってそのようになったのですが、これは米価を安定させるために行われた政策でした。
秋に収穫をした後であれば、その年の米の取れ高に応じて、どれくらいの米を酒造りに使うかということを決めることができます。このようにせず、米の取れ高とは無関係に酒造りをしてしまうと、凶作の年にはただでさえ米が少ないのに、その中から酒造りに米を回すという事態が起こります。そうなれば米価は急騰し、人々の生活は圧迫され、打ちこわしや一気などのリスクが高まってしまうのです。
江戸幕府がこの政策を敷いたことによって、酒造りは冬場に行われるようになり、さらには農閑期に農民が行う出稼ぎとして定着していくこととなりました。冬は降雪量が非常に多い東北地方で日本酒づくりが盛んなのは、稲作がさかんというのはもちろんのこと、出稼ぎとして定着していったことも無関係ではありません。
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