日本人と酒 9
食糧事情が現代ほど豊かでない古代においては、米を使って作る酒は貴重なものでした。そのため、普段から飲まれることはなく、神を祭るときだけ酒が作られ、ささげられ、祭りが終わると神の前で神と共に、人々とともに酒を飲むと言うものでした。特別な日に飲むのですから、たいていは夜を徹して、それこそ“お祭り騒ぎ”の酒盛りをしました。「お日待」といって、朝の日の出を拝むまで飲んだのです。一人で独酌すると言うようなことはまずありませんでした。
原料となる米にも、古来不思議な霊力があるとされていました。米の持つ霊力は「人と人を結びつける」力であるとされます。それは、米を固めたものの名前が「おむすび」であることにも表れています。その霊力を以て作られた酒にも当然人を結びつける力があります。これまでどこかよそよそしかった者同士が肩を組んで歌を歌う、いがみ合っていた者同士が一緒に笑う、酒にはそのような決して結びつかないもの同士を結び付ける霊力があるのです。
神にささげると言うことは神に飲んでもらうと言うことです。そしてそのお下がりを飲むと言うことは、神が飲んだ酒を自分たちも飲むと言うことです。こうして神と人間が一体になることができるのであり、酒にはそのような力がある飲み物として神聖視されていたのです。
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